講座概要

認知情報科学講座は、平成5年度に発足した講座で、人間の認知過程全般を、「情報」という観点から解明することを目標としています。人間とは一方では ウェット・ウェアとしての脳を持った動物であり、他方では情報を操る機械であるともいえましょう。人間のこころを担う脳は生物学的存在でありながら同時に 計算機的存在でもあります。人間行動が興味深いのは、人間がこうした二面性を持っているからでしょう。情報という概念は、人間のこの二面性に統一を与える 概念です。本講座の個性的な教授陣は、情報を、生物学・行動学から心理学・論理学にいたる広範なスペクトルで扱うことを可能にしています。

実際、認知情報科学講座ではいろいろな情景が見られます。ある研究室では録音さ れた人間の会話を一言一言チェックしている大学院生がいますし、その向かいの部屋ではハトが図形の映ったビデオを見ながらスイッチをつついています。 学生達がユニックス端末に被りついている部屋もあれば、複雑そうな数式に取り組んでいる先生もいます。このようにバラエティに富んではいますが、「情報」 という筋が一本通っていることがこの講座の魅力なのです。

これらの研究に共通する道具としてコンピュータがあります。たとえば、脳のネットワークをデジタル画像にして計量したり、人間や動物の 音声の特徴を解析したり、動物の認知過程を調べる視覚刺激をコンピュータ・グラフィックスで作ったりします。人間の価値判断の過程や感覚過程をシミュレー トするモデルを作り、測定結果を解析したり、ことばのデータベースを構築するのにも、コンピュータを使います。学生同士や教官との連絡も電子メールでやり 取りされます。

しかし、本講座では、コンピュータを便利な道具として利用するにとどまりません。私たちは、このような研究を通して、コンピュータそのも のを進歩させてゆくことを期待しています。認知情報科学講座で実践されている種類の、手法にとらわれずに、「情報」という観点から人間の認知過程を研究し てゆく立場から、人間とコンピュータのよりよいインターフェースが生まれてくるのだと思います。

この講座では、自らが講座の特徴を作って行けるような、意気込みに満ちた学生を歓迎します。この講座の卒業生が、人間への強い関心と、 コンピュータを使いこなす能力をあわせもった貴重な人材として、これからの高度情報化社会の中枢において活躍することを、私たちは確信しています。

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